この映画は、食べ物でいえば、メインディッシュとか食事、というより、おやつ、おつまみ、ちょっとなにか食べるためにバッグのなかに入っているもの、に近い。
今週のお題「おやつ」
「ロスト・イン・トランスラーション」という映画を久しぶりに観た。10年くらいぶりだろうか。そして、この映画はこんなに悲しい切ない孤独を描いたものだったんだとわかった。最初観たときとまったく印象が違う。
最初観たときは「へー、外国の人から見たら日本てこんなかんじなんだ」くらいの感想しかなかった。同じ映画を見ているはずなのに、主人公の孤独がいまのわたしにはものすごくわかる。もちろん映画はそのままで、変わったのはわたしなのだ。本とか映画っていうのはそういうもので、観たはずの、読んだはずの作品を、しばらく「寝かせて」また出会いなおす必要がある。ぜんぜん別の出会いになっているはずだし、そのことで、自分の10年ということをしみじみ感じることができるからだ。
この映画は、食べ物でいえば、メインディッシュとか食事、というより、おやつ、おつまみ、ちょっとなにか食べるためにバッグのなかに入っているもの、に近い。
ソフィア・コッポラという天才はそういう作品を創るのがうまい。シェフでなくて、パティシエ、なんだと思う。
むかし観た映画を思い出して、また出会いなおしてみようと思う。わたしも少しはその良さがわかるようになっているだろうから。